菊花賞の価値

http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-1322.html

長距離戦離れの傾向は、今日行われた菊花賞にも如実に表れている。今世紀に入ってから9回行われた菊花賞のうち、ダービー馬が不在だったのは実に半数越えの5回。しかも、ここ3年は五体満足でありながら、ダービー馬が菊花賞をソデにするケースが続いているのである。

んー。確かに3年連続で不在となったけど、2年前のダービー勝ち馬はウオッカ菊花賞に出ろと?
去年はディープスカイ

このブログではことあるごとに菊花賞にネガティブなことを書き連ねているが、私とて「菊花賞なんかやめちまえ」と言っているわけではない。秋の京都に「菊花賞」は欠かせぬ存在である。ただ私は、この時期に3歳同士で覇を競うことの意味の無さと、3000mという距離でありながらステイヤーにはほど遠い馬ばかりが出走している現状を嘆いているに過ぎない。

"ステイヤーにはほど遠い馬"だから天皇賞に向かったのだと認識しているけど。出たら嘆かれ、出なかったら叩かれ、一体どうしろと。
で、ロジユニヴァースは本当に"五体満足"なんですかね。それなら11月まで引っ張ることもないかと。


http://hirotomi.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-f18f.html

一方のヒシミラクルはどうか。産駒は今年2歳デビューのはずだが、少なくともJRAでの勝利はまだ記録されていない。産駒は総じて遅デキで、昨年の種付頭数はついに8頭にまで落ち込んだ。今年は12頭を確保したが、それでも厳しい状況には変わりがない。
だが、こうした事例を紹介しても、「ヒシミラクルは社台ブランドではないから仕方ない」という意見を持たれる方もいらっしゃると思う。

社台と関係なしに、ヒシミラクルは売りにくいのでは?生産者だって商業としてやっているのだから、馬主に売りやすい血統に流れるでしょう。仕上がるのが遅ければ、馬主だって投資の回収も難しいと判断するだろうし。馬主は金持ちとは言え、リターンを考えない人は少数派では。

実は2002年と同じようなシチュエーションは、2004年にも起きている。皐月賞ダイワメジャーとダービー馬キングカメハメハが揃って天皇賞を目指したため完全に空洞化してしまった菊花賞を勝ったのは、ノーザンファーム産のデルタブルースだった。ヒシミラクル同様、前走で1000万条件特別を勝っての挑戦。8番人気での勝利である。

翌年にはステイヤーズSを、そして2006年にはオーストラリアに遠征して、伝統のメルボルンカップを制する快挙を達成したデルタブルース。だがこの夏、ノーザンホースパークに乗馬として供用されることが決まった。日豪の伝統あるG?レースを勝ち、ノーザンファーム産の良血であってもなお、種牡馬になることが叶わなかったのである。
一方、菊花賞をパスしたダイワメジャーキングカメハメハは、今では200頭前後の種付けをこなす超人気種牡馬である。

まるで菊花賞を勝ったから種牡馬入りできなかったかのように読めるのだけれど、菊花賞以外に訴求力のあるものを手にすることができなかっただけでは。

デルタブルースには気の毒だが、近年の傾向を考えれば無理からぬ結末だった。日本でも海外でも長距離路線は空洞化が著しい。今年のサイアーランキングでトップを走るマンハッタンカフェ菊花賞天皇賞・春を勝ったステイヤーだが、同馬はサンデーサイレンス直子でスピードもあった。実際、産駒からはNHKマイルCを勝ったジョーカプチーノのようなスピードタイプが多く出ている。
しかし、デルタブルースダンスインザダークの直子。短距離ダート全盛の潮流に立ち向かうには、少々、いやかなり厳しいと言わざるを得なかった。

"短距離ダート全盛の潮流に立ち向かう"ことができると示せなかったデルタブルースに帰する問題では。

莫大な賞金を手にする関係者はまだ良い。気の毒なのは、勝っても評価されにくいレースを勝ってしまった馬である。クラシックレースの目的は繁殖馬選別にあるはずだ。それが正当な評価に直結しない現状を見るに、その存在意義が問われてしかるべきであると思うのである。

思うに、まともに評価できる人間がいないだけ。