Arc

去年のMarcel Boussacを見た後、 Zarkava が今年のArcで大本命に推されると想像なんてしなかった。
昨年のPrix Marcel BoussacはメインのArc並に強烈な印象があるにはあった。まず枠入りの段階で Gipson Dessert がゲートを出てしまい、Lemaireを落として放馬、 Gipson Dessert を捕まえるのに手間取ってスタートが遅れた。ゴール間近、 Conference Call が逃げ切ると思ったところを Zarkava が交わして一気に突き放した内容は圧巻だった。更に、ゴール直後に Zarkava が何かを飛び越えた。その瞬間の Zarkava の真正面から撮った映像から、Soumillonがちょっと慌てたような驚いたような動きが見て取れた。ドラマと言うか思い出と言うか、Prix Marcel Boussacは特別だった。
木曜夕方に強い雨、金曜は午前、そして昼過ぎにも雨が降った。土曜は一転、日差しがきついと感じる天候だったけれど、日曜は終日、小雨が降っていた。ペネトロは3.3と発表されていたが、Arcが行われたときはもっと悪くなっていたと思う。本場場入場では Zarkava が一番最後。馬番の順でそうなったのだけれど、取りをとった格好になった Zarkava を誰もが相応しいと感じていた。
スタート。いつものように後ろからいった Zarkava は直線で包まれてしまう。だが、 Vision D´Etat を外に弾いて割って出てきた。そこからは大歓声。実況なんか全く聴こえない。他馬に比べて Zarkava の斤量は確かに軽かった。けれど、馬場をもろともせず、へこたれずに気概を示したのも事実。凄いものを見れた、と言うよりも、見てしまった、と強く思う。
Soumillonは馬上でのインタビューを終えると、ゴール直後からそうだったけれど、 Zarkava を何度も指差した。そして、ゴーグルと帽子を観客に放った。顔が紅潮していたり、目を拭っていたのは寒さか雨か、それとも?
パドックに戻る道すがら、観客のSoumillonに対する賞賛が一昨年と昨年と比べても異常だった。パドックでSoumillonはフライングディスマウント。マスコミに囲まれて撮影ばかりしていたので、いつまで経っても確定せず。Soumillonがジョッキールームに戻るとシャンパンを浴びせられる。瓶を受け取って飲んでいたが、Arcの後にも騎乗するレースがあったと言うのに平気なのだろうか。
2着以下に終わった馬と騎手が戻っていった時、スタンドからは拍手と歓声が起きた。けして、今年のArcが「 Zarkava とその他」とは誰も思っていなかった一事だろうと思う。